今週の見取り図

2026年9月の幕開けは、発売日が1日と2日に集中した一週間だった。今回取り上げるのは、ブランド公式サイトと国内正規代理店の発表で事実を確認できた6本。イソップ、ラコステ、イッセイ ミヤケが「空気」や「塩」といった目に見えない要素をテーマに据え、アクア ディ パルマとブルガリはウッディに温度を与える素材としてヘーゼルナッツアイリスを選んだ。濃度の面では、6本のうち2本がエクストレ/パルファムで、オードパルファムより上の賦香率を選ぶ流れが続いている。

製品ブランド濃度容量・価格日本発売
チェドロ ヴィルトゥオーゾアクア ディ パルマEDP50mL 36,960円 / 100mL 50,490円9月1日
ウード アンブロシアアクア ディ パルマエクストレ ドゥ パルファム50mL 45,100円(3店舗限定)9月1日
アンフォーシーン エアーイソップEDP50mL 25,960円 / 100mL 40,700円9月1日
オリジナル アクアラコステEDP60mL 13,420円 / 100mL 19,360円9月2日
オムニア アメジスト オードパルファムブルガリEDP50mL 17,930円 / 100mL 24,200円9月2日
ル セルドゥ イッセイ パルファムイッセイ ミヤケパルファム50mL 15,070円 / 100mL 20,900円10月1日 直営店先行 / 10月7日 全国
今週の新作 6 本(価格はいずれも税込・公式発表値)

空気と塩 — ミネラル志向の3本

イソップのアンフォーシーン エアーは、寓話に着想したフレグランス ラインの新章に合わせて登場した一本で、フゼア調をブランド流に読み替えている。ゼラニウム、ラバンディン、ローズマリーで組んだ「空気」のアコードをナツメグの温かみで支える構成で、トップにライムとプチグレン、ベースにパチョリ、サイプレス、ラブダナムを置く。岩山を吹き抜ける風というイメージどおり、冷たいミネラル感から大地のスパイスへ移ろう時間設計が特徴だ。

ラコステのオリジナル アクアは、地中海に着想したウッディ アクアティック。調香はマリー・サラマーニュで、クラリセージとピンクペッパーの立ち上がりに続いて、ハートにキャビアアコードとサイプレス レジンを据えた。海の香りを「青さ」ではなく塩気とミネラルで表現する手つきは、次に挙げるイッセイ ミヤケとも響き合う。

イッセイ ミヤケのル セルドゥ イッセイ パルファムは、水と大地をつなぐ「塩」を主題に、マリンの清澄さとアンバー・アースの深さを対比させる。調香はカンタン・ビシュ。ソルトアコードとマリンアコードに、サフラン、オークモス、パチョリ、アンバーが重なる。天然由来成分92%、パチョリの葉のアップサイクル原料の採用、吉岡徳仁による再生ガラス20%使用のボトルと、素材面の情報開示が細かい点も今の潮流らしい。発売は10月で、今週の中では唯一の「予告」枠になる。

温かいウッディの二つの解

アクア ディ パルマのチェドロ ヴィルトゥオーゾは、「シグネチャーズ オブ ザ サン」に加わったオードパルファム。ファブリス・ペルグランの調香で、カラブリア産ベルガモットから、スパイシーでバルサミックなバージニア産シダーウッド、そしてヘーゼルナッツ エッセンスを共浸漬したクリーミーな余韻へと進む。公式が掲げる香調は「ウッディ グルマン」。木の香りに甘さではなくナッツの油分で温度を与える発想が新しい。

ブルガリのオムニア アメジスト オードパルファムは、宝石に着想したオムニア コレクションの新作で、アルベルト・モリヤスが手がけた。アイリス アブソリュートを軸に、ダマスクローズ アブソリュート、アンブレット アコード、CO2抽出のブルボン バニラ、シスタス ラブダナム アブソリュートを重ねたフローラル ウッディ。公式は香料をピラミッドに分けず列挙しており、アイリスの粉っぽさとラブダナムの樹脂感が同時に立ち上がる設計と読める。

限定のエクストレ

同じくアクア ディ パルマのウード アンブロシアは、賦香率30%のエクストレ ドゥ パルファムで、GINZA SIX旗艦店、伊勢丹新宿店メンズ館、西武池袋本店の3店舗限定。ヴィオレーヌ・コラスの調香で、イタリアンブラッドオレンジやシチリアンパパイヤアコードの眩しいトップから、パッションフルーツとサフラン、バイオレットリーフを経て、ラオス産アガーウッドの樹脂と心材の双方から得たウードバターに、ハチミツ、アンバー、タバコ、レザーが重なる。公式の香調は「スパイシー フローラルアンバー」。文化の交差点パレルモという主題を、果実とウードのコントラストに置き換えた一本だ。

日本市場への示唆

価格帯は、ラコステの60mL 13,420円からアクア ディ パルマのエクストレ 50mL 45,100円まで、ほぼ3.4倍の開きがある。中間の2万〜3万円台にはイソップとブルガリが入り、香りの選択肢が価格の階段としてきれいに並んだ週と言える。限定発売や直営店先行といった流通の絞り込みも目立ち、百貨店の旗艦店と直営店に「まず足を運ぶ」動機を作る設計が続いている。

参照

川辺株式会社 プレスリリース(アクア ディ パルマ チェドロ ヴィルトゥオーゾ/ウード アンブロシア)
アクア ディ パルマ公式 チェドロ ヴィルトゥオーゾ 製品ページ
イソップ公式 アンフォーシーン エアー 製品ページ
ブルーベル・ジャパン株式会社 プレスリリース(ラコステ オリジナル アクア)
川辺株式会社 プレスリリース(ブルガリ オムニア アメジスト オードパルファム)
株式会社資生堂 プレスリリース(ル セルドゥ イッセイ パルファム)